Interview 14  どこにいても稼げる未来を目指して~ベルリンで第一歩

今回もベルリンで働く女性のインタビューです。斎藤あゆみさんはワーキングホリデービザでベルリンに渡航し、仕事を見つけて現在労働ビザを申請中。将来は「世界中どこにいても稼いで生活できる」ライフスタイルを目指し、その第一歩をベルリンで踏み出した所です。

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斎藤あゆみさん Profile

大学在学中に一年間ボランティアで世界一周し、数か国に滞在。卒業後専門商社の営業、トレーダーとして勤務。20156月に退社、スペインに3か月滞在、同年9月渡独。ベルリンでワーキングホリデービザを取得、20161月よりオンライン旅行サイト Get Your Guide社入社、日本市場の開拓を担当。旅行ブログ「たびのーと」を運営。

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OrangeCareer 中石(以下、N) : 現在ワーキングホリデービザでベルリンに滞在しているということですが、お仕事は何をされているのですか?

斎藤あゆみさん(以下、斎藤) : オンラインの旅行会社で事業開拓を担当しています。本社がベルリン、スイスのチューリッヒにあり、アメリカ各都市、バンコク、ヨーロッパ主要都市にオフィスにあります。私は事業開拓として、日本のツアーオペレーターや旅行会社さんに営業し、自社の予約システムに登録もらい、代理販売を行っています。FIT(個人旅行)専門で、個人のお客様が自社のサイトにきて、そうした旅行会社さんのツアーに参加申し込みをすることで代理販売のコミッションを得る仕組みです。

N : 営業先は日本の旅行会社ですね。

斎藤 : はい。日本でも今インバウンドが盛り上がりを見せていて新しい旅行会社も沢山あるので、大手よりは比較的新しいそうした会社を狙っています。メールや電話でまず自社の紹介からしていくのですが、ヨーロッパと日本の旅行業界ではコミッション率が大きく異なり、日本はヨーロッパに比べコミッションが低めであるので、そこから納得してもらわなければならないので難しいですね。

N : 今どのくらい日本では認知されているのでしょうか?

斎藤 : 私が入社する前は日本語ができるスタッフはおらず、東京と京都のツアーがあわせて3、4本だったのですが、今は日本全国で80ツアー、うち東京が56、京都が14本に伸びました。予約も以前はあまり入っていなかったのですが、今は定期的に入るようになりました。やはり日本は英語の壁が高いのか、契約書なども英文ですとなかなか難しいのですが、私が入社してからは日本語で捕捉説明を入れるようにしていrます。

N :  入社したのはいつごろですか?

斎藤 : 今年の1月です。

N : ということは5か月(注:インタビューは5月末)でここまで伸びたわけですね。日本語という武器が大きかったのでしょうか。

斎藤 : 最初は私も旅行業界が初めてだったのと、日本側でも自社の認知度が低かったので説明があまりうまくいなかったのですが、入社3か月を過ぎたころから段々とスムーズにいき、お互いに理解できるようになってきたという感じですね。最近は「海外ではどんなニーズがあるのか」 という相談を受けて日本でのツアー企画に参加させていただいたりと面白くなってきました。

N : 日本に旅行される海外のお客様向けの日本国内のツアーがメインのようですが、逆に日本から海外へ行くツアーの販売はされていないのですか?

斎藤 : 中国などは大手の旅行会社との取引も多く、アウトバウンドも大きく取り扱っていますが、日本はまだインバウンドだけです。将来的には東京オフィスの進出も考えていて、今後は日本から海外へ、というビジネスも展開する予定でいます。私は今その基礎構築をしている段階です。

N : 話が戻りますが、学校を卒業してからのキャリアヒストリーを教えてください。

斎藤 : 大学を卒業して、東京で車を輸出する商社に勤めていました。日本の中古車をアフリカに送る営業をしてして、車の買い付けから販売、輸出の手続きなどを行っていました。

その会社を1年で辞め、震災後に一度地元の宮城県に帰りましたが、やはり英語を使って海外と関わる仕事がしたいと思い、また東京に戻って穀物を扱うドイツの専門商社に入社し3年間トレーダーの仕事をしていました。

N : トレーダーというのは具体的にどのような仕事でしょうか?

斎藤 : 現物取引です。小麦粉やトウモロコシなどをカナダ、アメリカ、オーストラリア、アルゼンチンなどから購入し、お客さんは日本の商社でしたので日本に輸入する所までを担当していました。 

N : どちらの仕事も英語を日常的に使うお仕事ですが、なぜ英語を使って仕事がしたかったのですか?

斎藤 : もともと英語は好きで勉強していましたが、学生時代に一年休学して海外でボランティアに行きました。タイ、インド、トルコ、フランス、ケニアを各2か月滞在しその合間に周辺国を旅行しました。その時の経験もあって、世界中どこにいても働けるようになりたいという思うようになりました。

N : 計5か国でボランティアというのは、そういうプログラムがあるのですか?

斎藤 : いえ、自分で計画を立てました。ボランティアのプログラムはNPOを通じて現地に申し込むのですが、それを自分で組み合わせました。 タイでは泥を使って家を作るプログラム、トルコではエコファームスティをしながら手伝いをするなど、なるべく現地の暮らしを体験できるようなプログラムを選びました。

もともとは留学をしようと思ってお金を貯めていたのですが、ただ英語を学ぶだけではつまらない、世界各地の文化を肌で感じたいと思いボランティアにしました。

N : この辺の国は英語は通じましたか?企業関係者でもないとなかなか難しいのでは。

斎藤 : あんまり通じなかったですね(笑)。 例えばトルコのエコファームでは息子さんが英語を少し理解しましたが、お母さんはトルコ語しかわからなかったので私もちょっとトルコ語を勉強したりしました。

N : さて、穀物の商社を退職されてからドイツに渡るわけですが。

斎藤 : 退職したのは去年の6月、ちょうど一年前です。会社の仕事は好きで海外駐在を目指していたのですが、会社がアメリカの会社に買収されたことでその道が閉ざされてしまったので、「だったら自分で行こう」と思いました。それで最初3か月は、スペイン語を勉強していたのと、遠距離でお付き合いをしていた彼がスペインにいたのでまずスペインに行きました。

N : ドイツの前にスペインに行ったわけですね。スペインではどちらにいたのですか?

斎藤 : マドリードを拠点にしていましたが、個人的に旅行ブログを立ち上げて、その取材もかねてスペイン一周、ポルトガルにも足を延ばして旅行しました。

N : とてもよくできたブログだと思います。ブログの動機は旅行情報の発信でしょうか?

斎藤 : 元々旅行が好きだというのと、自分でビジネスがしたいという思いがあったので何かビジネスにつなげることを始めたいと思い、立ち上げました。

N : では将来的には旅行ブログからビジネスを広げていきたいとお考えですか?

斎藤 : そうですね。今の会社を選んだのも、旅行業界のビジネスを学びたいというのが一つの動機でした。

N : スペインからなぜドイツに?

斎藤 : もともとドイツでワーホリビザを取得することは決めていたのですが、最大3か月までビザなしで旅行できるのでそれを使わない手はないと思い、初めにスペインに滞在し、3か月後の9月にドイツに渡って現地でワーホリビザを申請しました。

N : 現地でもワーホリビザの申請ができるのですね。

斎藤 : はい。そこでドイツに来てから、就職活動を始めました。ベルリンを選んだのはスタートアップの会社が多いということで、その中でも旅行業界に絞って今の会社に12月に就職が決まり、1月から働き始めました。

N : ベルリンでの就職活動は大変でしたか? 

斎藤 : 大変でした。スペインに滞在していた頃から探し始めていましたが、やはり住所や携帯番号がドイツのものでないとなかなか厳しかったです。ドイツに来てからはいくつか面接に呼んでいただきましたが、私の場合は営業経験はありますが、オンラインマーケティングに以降していきたいという思いがあったのでその辺の経験と、英語はできるのですがドイツ語が全くなので語学の壁がありました。それで、スタートアップ企業に向けて日本・アジアに進出しませんか?というオファーを自分で持っていったりしました。

N : すごいですね。そうやって自分で動くというのはとても大切だと思います。

ワーホリビザは1年ですが、その後はどうされるのですか?

斎藤 : 勤務先が契約を更新してくれれば、外人局に行って労働ビザの申請ができるのでただどんな職種でもできるわけではなくて、その仕事がEU外の人間である自分である必要を証明しなければならないのでマーケティングなどはなかなか難しいです。

現在、労働ビザの申請中です。ビザはどんどん取りにくくなっているそうなのですが、勤務先ドイツ人やEU出身者ではなく私を雇用する理由書を書いてもらい、申請を出しました。後は無事申請が認可されるのも待つのみです。

N : ドイツの場合、ワーホリビザで就労時間の制限はありますか?

斎藤 : ないはずです。友人は週40時間で働いています。ただ私は週3日の20時間勤務にさせてもらい、空いた時間で旅行ブログと、プログラミングの勉強をしています。就職活動をしてみて、自分の今までの経験がなかなか評価されないということにショックを受けまして、言語の壁が少ないITをもっと勉強したいと思いまして。ドイツ語を勉強した方がいいのかもしれませんが、私はドイツに来ることが目的で来たわけではなくずっとドイツにいないかもしれないので、それよりは自分のキャリアにプラスになることを勉強したいと思いました。

N : そうだったんですね。ちなみにワーホリは他の国もあるので、ドイツが目的ではないのであれば他の国でも良かったと思いますが、なぜドイツに?

斎藤 : イギリスは抽選で落ちてしまいました。他の英語圏も考えましたが、ヨーロッパに住んでみたかったのと、旅行ブログのために色んな国に容易に行けるドイツを選びました。それにオーストラリアやカナダは情報が確立されています。ヨーロッパはまだ個人のブログで旅行情報を発信している人はいますが、旅行情報だけを専門にしているサイトは少ないのでチャンスが多いと思いました。

N : 色々と考えているのですね。スペイン人のパートナーの方も今はベルリンでお仕事を見つけたということですが、ドイツを離れることに抵抗はないのですか?

斎藤 : 彼はドイツはあまり好きではないみたいです(笑)。 キャリアアップには良かったと言っていますが、彼もプログラマーなのでどこでも仕事はできますし、私もどこにいても働けるようになりたいと思っています。会社にとらわれず、旅行ブログやプログラミングの勉強をしてそういった仕事をしていきたいと思っています。 この先いつまでドイツにいられるかはわかりませんし、ビザなど自分ではどうにもならないこともあるのでわかりませんが、できればしばらくヨーロッパを拠点にできたらと思っていますし、将来的にはスペイン語が中途半端になっている状態なのでスペインや南米などのスペイン語圏も興味があります。この先いつまでドイツにいられるかはわかりませんが、できればしばらくヨーロッパを拠点にできたらと思っています。でも、スペイン語をずっと勉強しているので、将来的にはスペイン語圏にも拠点を移していきたいですね。

N : ベルリンの住み心地はいかがでしょうか?

斎藤 : ドイツ語は喋れた方がもちろんいいのですが、英語だけでもなんとかなりますし、東京と同じような都会の雰囲気を持ちながらも人口が少なく緑が多くて生活しやすいです。それと、東欧のアクセスがいいので東欧旅行への拠点として色々行けていいです。あと、他のドイツの都市に比べ、ベルリンは物価が安いので外食もお手頃価格で食べられます。

N : 逆にデメリットは?

斎藤 : 冬が寒く長いです。年の半分位は寒くて鬱になる人も多いです。

N : 最後に海外に出たいと思うか方にアドバイスがあればお願いします。

斎藤 : 仕事としては私は日本で少し経験を積んできて良かったなと思います。ヨーロッパは即戦力主義なので、何かこれというものを積んで来たらいいかなと思います。私は駐在とか企業派遣で海外に行くことをずっと目指してきたのですが、今そういうチャンスはなかなか難しくなってきていると思いますし、企業に頼らずとも自分で行く道を探してみるのもいいと思います。

End)

インタビュアーコメント: 

斎藤さんは学生時代から自分でボランティアのプログラムを組んで実行したりと行動力がある上に、とてもしっかり人生設計をしているな、と思いました。将来的には企業にとらわれない稼ぎ方、生き方を目指して、目標だった企業での海外駐在が難しくなった時も自分で軌道修正をできた柔軟性。ワーホリビザでの就職自体が難しい中で、将来の目標に少しでも役に立つような会社の選び方をしていること、旅ブログやプログラミングの勉強など、目標に向かってよく考えてブレずに一歩一歩着実に進んでいます。

海外就職を実現させたということだけでなく、このプロセスの積み上げ方は、皆さまにも大いに参考になるのではないでしょうか。

Date of Interview : 28 May 2016

Interviewed by : Natsu Nakaishi ( Orange Career )

 

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この記事の著者

Natsu NakaishiOrange Career 代表

大学卒業後、日本で就職し、2004年にベルギーの現地法人に出向。欧州内での転職、転勤を経て現在海外でのキャリア12年目。日本と海外の働き方、ビジネスマナーの違いに精通。

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