海外で働きたい若者は減っているのか

産業能率大学が3年に1度新入社員を対象に行っている「グローバル意識調査」第6回(2015年度新卒新入社員対象)の結果が発表されました。これだけ企業のグローバル化が叫ばれている中、新入社員の方々がどのように思っているのか、とても興味深い調査です。

今回の調査結果で目を惹くのが、「海外で働いてみたいか」という質問に対し、「働きたくない」とする回答が63.7%と、調査開始の2001年度以降で過去最高を記録したことです。

「海外で働きたいと思わない」人の割合は2004年度28.7%、2007年度36.2%、2010年度 49.0%、2013年度58.3%、そして今回の63.7%と年々増加しています

 

その理由として、上位から

自分の語学力に自信がないから…65.6%、

海外勤務は生活面で不安だから…46.9%、

自分の能力に自信がないから…31.2%、

海外に魅力を感じないから…26.7%、

家族に負担がかかるから…18.0

海外勤務はキャリアの面で不安だから…13.8

その他…1.7

(複数回答)となっています。

「海外で働いてみたい」という若い人が少なくなっている傾向は残念な事です。

しかし、同調査の「日本企業はグローバル化を進めるべきだと思いますか」の項目については、「進めるべき」「どちらかといえば進めるべき」を合わせて73.4%の人が必要性を感じでいるようです。グローバル化はもはや多くの企業にとって避けられない事態です。そのためには海外で働ける人材、というのは企業にとって重宝される人材と言って良いと思います。

 

なぜ、海外で働きたくないか。

その理由のトップの語学力については、実はあまり行く前から心配しなくても良いと思います。海外赴任が決まってから出発までの間に勉強して、あとは現地で慣れれば、大概なんとかなるものです。ほとんど英語が話せない状態で海外赴任に来た日本人を何人も知っていますが、皆さん3ヶ月から半年ぐらいでコミュニケーションがちゃんと取れるようになります。自分からコミュニケーションをとろうとしている限り、相手も話を聞く努力をします。後は、時間の問題なのです。

また、「自分の能力に自信がない、というのは新入社員にとっては当たり前の事。これも23年仕事の経験を積めば多少は自信がつくはずです。

そして、「海外勤務がキャリアの面で不安だから」について。この先のキャリアで、海外勤務経験が有利になることはあっても不利になる事はあまりないのではないでしょうか。

もちろん職種によっては、現在の職種と海外事務所とでは異なり、海外勤務によって数年現在の職種を離れる事によって、帰国後に元職種に戻りたい場合にブランクがハンデになることはあるかもしれません。しかし日本にいても異動で職種が変わる事はよくある事。

海外勤務で積んだ経験というのは国内では得がたい経験に違いなく、他の人との差別化になります。また好むと好まざると日本にいた時には見えなかったことが見えたり、別の角度から視点を持つようになりますので、経験上のプラスはかなり大きいと言えます。語学力も格段に上がるわけですから、キャリアアップには有利な面が大きいのです。

実際、海外赴任を無事終えて帰国した人は、社内で出世しやすい傾向にありますし、海外で働いていて帰国後転職をしキャリアアップをした方は沢山います。

生活面の不安や、家族の問題は人それぞれ事情や許容範囲が異なりますから何とも言えません。しかし少なくとも語学力・仕事力・キャリアの面で、あまり心配することはないと知っていただければ、海外で働いてみたいと思う若い人はもう少し増えるのではないでしょうか。

————

一方で、「海外で働いてみたい」と答えた方の割合は、

「どんな国・地域でも働いてみたい」9.1%、「国・地域によっては働きたい」27.2%。

 

働きたい理由は上位から

日本ではできない経験を積みたいから…72.5

自分自身の視野を広げたいから…58.9

語学力を高めたいから…47.0

外国人と一緒に仕事がしたいから…27.8

(以下省略、複数回答)

 

上位に挙げられたことは、きっと全部叶います。

どんな国・地域でも働きたいという人が1割程いるのは頼もしいですね!

国や地域によっては、という方はやはり一部の国や地域の治安や生活水準に不安があるのでしょう。その気持ちはよくわかりますし、世界の状況は刻一刻と変わっていますので、この調査結果で「今の若者は覇気がない」などと論じるのは少し短絡的のように思えます。

でも実際に行ってたら自分に合っていて「住めば都」だった、ということもよくある話です。ともかくも、海外で働いてみたい・チャレンジしてみたい、という気持ちは大事にして欲しいと思います。

次回は同調査の中から「海外で働くために必要なこと項目について考えてみたいと思います。

 

 

産業能率大学「第6回 新入社員のグローバル意識調査」

http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/global2015.pdf

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この記事の著者

Natsu NakaishiOrange Career 代表

大学卒業後日本で就職し、2004年にベルギー事務所へ赴任。ベルギー国内でのキャリアアップを果たし、イタリア事業所の部署スタートアップに抜擢される。並行して海外キャリア12年の経験を活かし、海外で働きたい女性のための情報サイト Orange Careerを立ち上げる。
英語圏の滞在経験ゼロから英検1級‣TOEIC950点取得、フランス語DELF B1他、オランダ語・イタリア語習得のマルチリンガル。

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