Interview 21 NYでゼロからの出発、映画製作の道へ 

Photo : Ayumi Sakamoto

 

今回はOrange Career初のアメリカから、ニューヨークでフィルムメーカーとして働く川出真理さんにインタビューを行いました。

川出真理さん プロフィール

20代の時にアメリカに一年半留学。語学留学の後、NYでアート関係のコースで映画製作のクラスを受講。帰国後音楽業界のプロモーター・コンサートプロデューサーとして勤務。30代後半で映画製作に関わる夢を実現するため再び渡米。フィルムスクールで本格的に学び、映画製作を精力的に行っている。受賞歴多数。

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Orange Career Nakaishi(以下、N): まず今までのキャリアヒストリー、今に至るきっかけなどを教えて下さい。

川出真理さん(以下、K) : 小さい頃から海外、特にNYに憧れがありました。その思いがあって短大卒業後に商社に勤めていたのですが、20代の頃に1年半ほどアメリカに留学しました。ボストンとNYで語学留学の後、アート関係のコースをNYで受講しました。その時に映画製作のクラスがあったのですが、とても面白くて、これをやっていきたいと強く思うようになりました。

帰国して音楽業界でプロモーター・コンサートプロデューサーとして10年程働いていたのですが、30代の後半になり、本当にやりたかった映画製作をやりたいと思い、会社を辞めてこの世界に飛び込みました。

N: 現地に頼れる人や、つてはあったのですか?

K: いえ、全く(笑)。 直接の知り合いすらいませんでした。

N: それはすごく勇気のいることですよね。迷いはなかったのですか?

K: 周囲の反応は賛否両論でした。応援してくれる人もいましたが、年齢的にもリスクが大きいので心配してくれる人もいました。ただ、両親が元気なことや色々な条件が自分の中で整った事もあり、何よりやらずに後悔したくないという思いがありました。

N: 現地に着いてまずどうされたのですか?

K : NYのフィルムスクールに入りました。そこで世界中から来た仲間を作ったり、映画製作をしていました。

 

N なぜNYだったのですか?

K: NYの持つ強さというか、多様性がやはり面白くて。喧嘩しながら新しいものを生んでいる所が刺激になります。

: ビザはどうされたのですか?

K : 学生ビザで渡米し、その後OPTビザ(Optional Practical Training Visa、アメリカの学校を卒業した人に1年間のトレーニング期間として就労許可が与えられるビザ)を取得しました。その間にアーティストビザを目指して映像制作会社で働いたり、映画製作を続けました。実績があるとビザの審査に有利と言われているので、フィルムフェスティバルに出品したりしました。

N: それがHPに記載されているロサンゼルスのムービーアワード等ですね。

K: はい。ですが、幸いアーティストビザを取る前にグリーンカードの抽選に当たりまして。

N: それはラッキーですね!かなり狭き門だと聞きますが…

K : そうですね。国籍によって当選する人の人数が割り振られているのですが、日本人はその時年間300人くらい(1%)だそうで、トランプ政権になって今後はなくなると言われています。

N : 持ってますね。

K: 運を使い果たしました(笑)

 

N: さて、現在新しいフィルムを作成中とのことですが、どんな内容なのですか?

K : 「報道バズ」という6話からなる連続ドラマで、他の2人の仲間とやっているのですが、海外にいるからこそ日本の方々に伝えたいことを盛り込んでいます。主人公は日本のテレビ局でバラエティ番組を担当している女子アナで、ニュースをやりたくて日本を飛び出し、アメリカのニュースアプリの会社に入社します。ただジャーナリズムのなんたるかや、日米のタブーの違いなどを知らないために色々とやらかしてしまうのですが、周りに批判され、危険な目にあいながらもなんとかやっていくというストーリーです。

物語を通して、「女子アナ」という言葉、若くて見た目の良い女性が重宝されるなど日本のメディアのあり方、セクハラ・年齢・LGBTなどへの差別など日本社会のへの皮肉を織り交ぜています。私達がアメリカでマイノリティーとして暮らしているからこそ分かるマイノリティーの気持ちを描き、見る人へ広い目を持って知ってほしいという思いと、日本の女性でやりたいことや言いたい事を我慢している人に一歩踏み出して欲しいというメッセージを込めています。

また、1話が15分程と短いのも日本ではあまりないスタイルですが、海外ではメジャーでスマホなどでスキマ時間に見てもらえると思います。テンポやカメラワークはアメリカで学んだものなのでそこも日本のドラマとは違うかもしれません。また日本語・英語両方使用しているので、英語を学んでいる方にも良いと思います。

N : 一歩踏み出して欲しいというのは私達Orange Careerの願いでもありますし、川出さん自身が体現されたことですね。とても面白そうな内容ですが、完成・公開までの日程はいつ頃ですか。

K : 現在製作途中で、追加資金をクラウドファンディングで募る予定でおります。7月10日から2か月間、キックスターターのサイトで募集します(注1)。公開についてはディストリビューターとの交渉になります。

N : そういったことも自分たちでやらなければならないというのは大変ですね。アメリカでは一般的なのでしょうか?

K: そうですね、特にアメリカではTV番組でも素人が提案したり、制作会社に持ち込んだり、と一般の人が参加するチャンスは多く、TV会社とその委託先の制作会社だけがお金をかけて番組を作っている日本とは全く違います。日本だと素人やインディーズなど知名度が低いと話を聞いてもらう事すら難しいですが、アメリカでは常に新しい事・面白い人材を探しているのでチャンスは多いです。その分ライバルも多いですが。

 

N  : NYでの生活や仕事で日本との違いはどこにありますか?

K  : 物価は高いですし、日本では考えられない事はあります。例えば住むところ一つとっても水道やガスが止まったりと、大家さんとの交渉やトラブルは絶えません。でも刺激が多くて面白いです。

またこちらでは自分の意見を言ったり、アピールしたりということがとても大事で皆とことん話をします。私は最初の頃、これは言っても仕方がないと、言わない事が多かったのですが、意見があるなら言うべきで、様々な人種やバックグラウンドを持つ人々とのコミュニケーションは言わなければ伝わりません。そこが大変ですが、面白い所です。

N : 勇気を出してNYに行ってみて、良かったですか?

K  : はい。予想外の辛い事や大変な事もありましたが、それ以上に思ってもみなかった面白い事を経験できています。今後もここで、小さくても自分が作るべきと思う作品を作り続けていきたいと思っています。

N: ありがとうございました。

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注1: 川出さんの次回作「報道バズ」クラウドファンディングはこちらから

  

 

インタビュアーコメント: 今までのキャリアを捨て、つてもコネもない世界へ飛び込むというのは誰にとっても怖い事。それが海外であったり、収入が保証されないフリーランスであったり、年齢的な事が重なると心理的なハードルはどんどんあがってしまうものです。それでも自分のやりたい事に向かって一歩踏み出した川出さんの勇気と行動力は尊敬します。住みたい場所で、やりたい仕事を掴み取るために、アクションをとるかとらないかは自分次第だということを教えてくれました。川出さんだからこそ撮れる作品、ぜひ見たいですね。

Interview by : Natsu Nakaishi (Orange Career)

Date of Interview : 1 July 2018

この記事の著者

Natsu NakaishiOrange Career 代表

大学卒業後日本で就職し、2004年にベルギー事務所へ赴任。ベルギー国内でのキャリアアップを果たし、イタリア事業所の部署スタートアップに抜擢される。並行して海外キャリア12年の経験を活かし、海外で働きたい女性のための情報サイト Orange Careerを立ち上げる。
英語圏の滞在経験ゼロから英検1級‣TOEIC950点取得、フランス語DELF B1他、オランダ語・イタリア語習得のマルチリンガル。

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